用の美

萩博物館の企画展・ふるさと萩の承継/阿武川流域で心惹かれた道具たち・・・

中でも釘付けになったのは阿武川から材木を運んでいた船頭さんが着ていた「どてら」のような着物。

寒さ厳しいあの辺りを知る人間としては、この着物を羽織って川を下っていたなんて考えられません。。。

そして、至る所施された継ぎはぎ。

直しながら大切に1着をずっと着ていた事がよく分かりますね。

海外で「boro/ボロ」という言葉は、使い古しの服・継ぎはぎの服を指す言葉として認知されていて、日本のボロをテーマにルイヴィトンやコムデギャルソンなどのブランド、リーバイスなどの有名デニムブランドもコレクションを発表してるんですが、まさにこの船頭さんが着ていた服は本物のボロ・用の美です。。。使われた歴史・デザイン、様々な角度から見て私は美しいと思います。

あとは繭玉を入れるための竹かご。

昔の人は必要な物は身の回りにある限られた資源でほとんど自分で作りますし、デザインも必要だからその形になった訳で、意匠に意図的なものは一切ないにも関わらずとにかく美しい・・・

縦軸と横軸に太い竹を使い、あとは細めの竹ひごを一定の力加減で規則的に編んでいく。

この作業を昔は普通に農家さんなど専門職ではない人が作っていた訳ですから、我々物作りに携わる人間としては何と言いますか・・・恥じる思いです(恥)

扱う素材こそ違えど、こういった道具を私も作ってみたいもんです。

というか、そこを目指しています、はい。